★以下は18日に掲載の毎日新聞記事です。
個人的には、1番大事なのは、いかに大地震を事前に予知し避難して命を無駄にしないかで、実際に起きてからの解釈は後から何とでも言えます。

★その予測、予知方法は地震雲だけでなくほかにもいろいろあるのですが、それを金儲けの占い方向などにどうしても傾いてしまうのが常です。そうなるのはやはり科学的根拠がないからですが、雲の研究はもう少し国をあげてしたほうがいいと思います。

●なぜなぞ科学:「地震雲」は本当にある?
地震が起きる前に異様な形や色の雲が現れるとする話がある。「地震雲」は本当にあるのだろうか。

 新潟県中越地震直後の10月下旬、気象庁天気相談所に見慣れない雲を見た。地震雲ではないか」という質問が相次いだ。しかし、予報官の藤原清さんは「地震雲として寄せられた雲は、飛行機が飛んだ航路にできる飛行機雲、白く繊細で巻き毛のような外観の巻雲(けんうん)、放射状に並ぶことがある高積雲などだった」と話す。

 雲は細かい水滴や氷の結晶が集まって大気中に浮遊している。雲は研究上、大まかに10種類、変形を含めると約90種類に分類される。藤原さんによるとこれらが空の異なる高さで違った方向に走っていると異様に見え、「地震雲では」とされるようだ。地震は年間を通じて起きるが、巻雲などが出やすい秋から冬にこの種の問い合わせが増えるという。

 一方、地震雲を動物の異常行動など地震の前に現れる身の回りの変化を意味する宏観(こうかん)現象とする研究者もいる。弘原海(わだつみ)清・大阪市立大名誉教授は、地震が迫って地殻にストレスがかかると、地中からラドンが放出されるという仮説を立てた。ラドンが放射線を出して鉛イオンになり、これを核に雲ができる。見慣れない雲の中には、このようにして発生する地震雲もあるのではないかと弘原海さんは考え、「地震雲も市民から広く情報が集まれば、予知につながるかもしれない」と期待を寄せる。

 国の地震予知は(1)地殻変動(2)地震活動(3)地下水位(4)地磁気−−などの観測が中心で、気象庁地震予知情報課は「地震雲に科学的な根拠はなく、占いに近い」と切り捨てる。【中村牧生】
毎日新聞 2004年12月18日 東京朝刊